「僕のステキなスカンクちゃん」

れが僕の初体験で、そして、確かに恋だったと思う。僕は決して忘れない。
彼女の吸い込まれるようなまなざしと、あの最悪の香りを・・・・。

土曜日の午後の図書館は、静かだった。そろそろ受験のプレッシャーを感じ初めていた僕は、
勉強部屋代わりに図書館を利用していた。
でも、困ったことに、ここには、勉強以外の誘惑が多すぎた。
大部分は、知的な誘惑だったけれども・・・、僕は、いろいろな世界をここで学んだ。


その時も、読みたかったスコット・フィッツジェラルドの小説を探しに、書棚の森へ分け入ろう
としていた。

狭い書棚の通路の入り口で、すごい美人としか言いようのない女性に、呼び止められた。

「あなた、しばらくここで待っていたほうがいいわよ」


僕は、きょとんとして、その女性を見つめた。

セミロングの栗色のヘアーがふんわりかかった知的な整った顔だちの中で、
目だけがいたずらっ子のように笑っていた。

僕とたいして違わない背丈の、長身の体を、モノトーンの超ミニのワンピースでつつんだ
エンジェルは、見とれる僕を残して閲覧室の方へ消えていった。

歩調に合わせて、そのタイトなスカートが、はちきれんばかりの腰のゆれと、
その下に張り付く、明らかに最小限度の布地の線を、強烈に印象づけたまま・・・・・。


我に返った僕が、奥に進もうとしたとき、向こうで数人の悲鳴が聞こえた。


「くせーっ、なんだこりゃ!!」


「げーっ、臭すぎーっ!」


「死ぬーっ!」

何人かの学生服姿の中学生が、鼻をつまんで逃げ出して来た。
最後のひとりは、咳き込みながら、マジで青い顔をしていた。

「うぷっ!?」

その奥の書棚のコーナーは、悪臭地獄と化していた。汚物のような生物的な悪臭を通り越して、
何か薬品でもこぼしたような、キャベツのくさった目に染みるような強烈な悪臭があたりに充満
し、息がつまりそうだった。猛毒の硫化水素でも流出したかのような、明らかに毒性のある臭いだった。

僕は、その臭気に、めまいを覚えながらも、息を止めて、英文学の書棚から、
フィッツ・ジェラルドの「グレート・ギャツビー」をひったくるようにして取り出すと、
一目散に走り出した。

やっとまともに呼吸できるようになった僕が、閲覧テーブルへ行くと、先ほどのエンジェルが
笑いかけた。

「くさかったかしら?」

「なっ、なんですかあれは!」

「ひ・み・つ・・・!?」

ショッキングピンクのルージュに彩られたかわいらしい唇に、白いひとさし指を立てられると、
僕はそれ以上追求できなかった。

僕は、彼女のテーブルに、細めのカルティエの万年筆といっしょに、フィッツ・ジェラルドの
最初の長編「楽園のこちら側」の原書があるのに気が付いた。

同時に、彼女も僕の「グレート・ギャッビー」に気が付いたようだった。

「あなたの年だと、サリンジャーの方が好きな人が多いのに、めずらしいわね。」

「ライ麦畑ですか。主人公のホールデンの話し方が嫌いなんです。」

彼女は、声をたてて笑った。先ほどのものすごい悪臭を吹き飛ばしてくれるような、
とても魅力的な笑顔だった。

僕は、心臓をつかみ出されたような気がした。

僕が、彼女の「楽園のこちら側」を見つめていると

「これ、卒論なんだ。でも、おもしろいわ。とても・・・・」

彼女は少しはにかんだように言った。

「タバコ吸いたくなっちゃった。なんかあなたにちょっぴり責任感じちゃうわ。
外に出ない。コーヒーぐらいおごるわよ。」

僕は、おおいに神様の気まぐれに感謝した。たまには、コインの表が出ることもあるのだ。


図書館を出ると、新緑の公園の中を抜けたところに、真っ白なBMWが止まっていた。

それが彼女の車らしかった。

「お金持ちなんですね。ベーエムベーですか?」


「1.8リッターよ。ドイツのカローラ。でも、あなた英語読みしないから気に入ったわ
ビーエムなんて言われると腹がたつの。」

「バイエリッシュ・モトレン・ベルゲでしたっけ?車好きなんです。まだ免許取れないけど。」


「じゃあ、ナビゲータシートで我慢しなさい。
この近くの広尾においしいケーキ屋さんがあるの。わたしのおごりだから付き合うのよ」

「ええ、よろこんで。」

驚いたことに、日本では、めずらしいマニュアルミッションだった。それ以上に彼女の
ドライビングテクニックは軽やかで、あざやかだった。
でも、3速以上使わないうちにすぐ目指すケーキ屋さんに到着してしまったのが悲しかった。

店は、言わば女の子受けするようなケーキ屋さんではなく、普通のレストランだった。

ただ、窓から吹き込む五月の心地よい風と、都心とは思えない午後の陽だまりの静寂と、
控えめに流れる音楽、たしかモーツアルトのクラリネットコンチェルトのアダージョの
旋律・・・が心地よかった。

そして、何よりも、とびきりのオネエさまの笑顔に不足があるはずはなかった。

出されたコーヒーは、苦く、これまたとびきりうまかった。


「最近のイタめしのブームは嫌いだわ。パリでも、ちゃんとしたフレンチローストのコーヒーを
 出すお店が少なくてやんなっちゃう。エスプレッソがおいしいのは食後だけよね。」

彼女は、真ん中にホワイトガナッシュの入った生チョコのトリュフをつつきながら、
つぶやいた。

「あなたくさいの平気よね」


「えっ?」

「たばこよ、たばこ」

「ええ、どうぞ」


彼女は、ワインレッドのスリムなシガレットケースを、バックから取り出すと、細い葉巻を一本
抜き取った。

「わたし、シガーが好きなの。おじ様がアメリカ人でさ、いつも食後に吸うから、
 なれちゃった。」


彼女は、手馴れた手つきで、同じくワインレッドでコーディネートされたスリムなカルティエの
ライターで、丹念に火をつけた。
たちまち、あたりに焚き火のような香ばしい香りが立ち込めた。


「ダビドフもハバナじゃなくなっちゃったし、おいしいものが少なくなるわ。」


僕が、話題についていけなくて困っているのを感じたのか、彼女の方で話題を変えた。


「わたし、食べ物でもなんでも匂いの強いものが好きなの。おじ様が、外人で、肉食中心の
 変なものばかり食べさすのよ。すっかり嗜好が変わっちゃたわ。」

彼女は、例のいたずらっぽい目つきで僕をじっと見つめると


「あなたくさいもの平気かしら?」


「ええ、結構我慢強いほうです。」

「そう・・・・。」


そこで、彼女は、吸い込まれるようなまなざしで僕を見つめた。


「わたし、自分でもたまらないにおいがあるの。」


「なんですか?」

「自由に、においをコントロールできたらいいのにと思うのよ。」


「香水とかじゃなくて、生身の体から出せる匂い・・・、周りの人には、明るく華やぐ香り・・・・、愛しい人には、甘く誘う香り・・・、
そして、わたしをいじめる人には、命を落とすほどの最悪の香りを嗅がせてやるの・・・」

「はあ・・・?」


彼女は、またいたずらっぽい目つきをして、


「あなた頭よさそうだし、結構ハンサムだからモテルでしょ。」


「別に、ぜんぜんです。部活ばかりやってましたから。」


「しなやかそうないい体しているわ。」


僕はドギマギしていた。同世代の女の子とつき合ってはいたが、正直言うと、まだ童貞だった。

僕は、ついつい彼女の重たげな胸と、テーブルの下のはちきれんばかりの腰のラインを想像して
しまい、体の一部が硬くなりすぎて、立ち上がりづらくなっていた。


「あなた、どこ志望しているの?」


「物理が好きなんで、一応理系を。」

「ふーん。やっぱり頭いいのね。」

彼女が、感心してくれたので、僕は意味も無くうれしかった。


「わたし、この近くなんだけど、これから、ちょっと日吉の図書館までいかなきゃならないの。 送れないけどいい?」


「ええ、僕もすぐですから。」

彼女は、立ち上げるとレシートを持ってレジに行った。ダイナースの家族カードで支払いを
済ませると、例のいたずらっぽい笑顔で

「わたし、エミー。また合えたら、あいたいわね。」


「はい・・・・」


僕が我に帰ったとき、もう白いBMWは走り出していた。


「あっ、お嬢さん」


振り向くと、ウエイターがカルティエのパスケースを掴んで追いかけてきた。

彼女の忘れものだった!

この近くの有名私大の学生証だった。彼女は、英文科だった。

僕はそれをうけとるとたいへんなチャンスにニンマリした。

少なくても、もう一度彼女に合うことができる!

それだけで、僕は、本当にスキップしながら地下鉄の駅に向った。


****************************************


次の日は、うって変わって薄暗い雨模様の日だった。


もう梅雨に入ってしまったような、憂鬱な都会の景色の中を、僕は、彼女の学生証のアドレスを
たよりに、その住まいを探していた。

電話番号を知らないので、当然、アポのしようがなかったが、彼女に会えるまで、なんどでも
訪ねる覚悟だった。

僕は、彼女の大学の先輩で、有名な俳優の、結婚式の披露宴の定番ソングを口ずさみながら、
西麻布界隈をうろついていたのだった。

坂の上のやや古びたマンションが彼女のアドレスだった。


幸い、オートロックなどなかったので、簡単に彼女の部屋のドアの前に立つことができた。
表札は、外人の名前が書いてあった。

ここまでは、ストーカーまがいだったが、僕には、立派な大義名分があるのだ。

数回のチャイムで、幸運なことに、ドアの向こう側で、軽やかな足音が聞こえた。


「Who is it?」

エミーの声だとわかったので、僕は、学生証を届にきましたと用件をいった。
その声が妙に弾んでしまったのが少し恥ずかしかった。

「あら、あなただったの。」


ドアロックを外す音がして、ドアが開いた。


「よかった。探していたのよ。」


「!?」


僕は、息が止まった。

エミーは、ナイトウエアのままだった!

正確に言うと、その上にガウンを羽織っていたが・・・。

「お礼がわりといってはなんだけど、よかったら、お茶でも飲んでいかない?」

僕が、今一番聞きたいことばだった。僕は、2度目のコインの表を感謝した。

上質としか形容しようのない北欧製の家具が、必要最小限、いっさいの無駄なく、
完璧にコーディネートされた部屋、僕はそんな印象をもった。

「わたし、朝がいちばんきらいなの。今、一日で最初の食事を済ませたところよ。
 ちょうど、お茶にしようと思っていたところ・・・・」

家具と同じテイストのマッキントッシュの中型スピーカーから、ヒスノイズだらけのカン高く
うめくような、そのくせ、妙に耳に残る古いカントリーブルーズが流れていた。

僕が、スピーカーの前に釘付けになっているのを見て、エミーがつぶやいた。


「ロバート・ジョンスン。今から80年も前のロックのご先祖さまよ。知ってる?」


「ええ、町の外れの十字路で悪魔に魂を売って、ギターをマスターしたっていう伝説の
 ブルーズシンガーですね。確か、ストーンズの“ラブ・イン・ベイン”は、この人の
 カバーでしたっけ」

「なんか趣味があいそうね。」

エミーが微笑んだ。

何か言おうとした僕は、思わず生唾を飲み込んだ。

そのとろけるような笑顔もさることながら、エミーのはだけたガウンの胸元から、
それはそれは、深い胸の谷間が、モロ見えだったからだ。

まちがいなく、彼女はノーブラだった。

彼女は、紫色のシースルーのネグリジェ、それも、たいへん短いヤツ・・・を
着ているらしかった。
彼女は、はだけた胸元を直そうともせず、そのままキッチンに入って、コーヒーを
沸かしていた。
歩きずらくなってしまった僕は、チーク材のダイニングセットの椅子にあわてて腰を降ろした。

「何か食べる?昨日のディナーの残りだけど、チリビーンズならたっぷりあるわよ。」


「いや、けっこうです。」


僕は、食欲がなかった。別の本能の方が、強烈にあたまをもたげだしていた。

起きがけということもあり、今日の彼女は、ノーメイクに近かった。
少女のような意外に子供っぽい素顔に、成熟した女性のラインのアンバランスさが、
いやおうなく、僕の煩悩を刺激した。

「ねぇ、そのジージャン脱いで見て」

僕は、言われるままに、立ち上がると、着古したリーのジージャンを脱いで、
同じくリーのジーンズとへインズのTシャツだけになった。

「ステキな体・・・、美しいわ。なにかスポーツやっているの?」

「ボクシング部なんです。ライト級ですけど。」

「そのクラスの割には背が高いわ。おなかさわらせなさい。」

エミーの白い手が、僕の腹の上を円を書くように動いていった。僕は、堅くなって
目をつぶっていた。

「ウフッ、ちゃんと腹筋が段差になっているのね。やっぱり若さだわ。年寄りはいや・・・・」

こんな風に、女性に触られたことは、もちろんなかった。しかも、とびきりの美人に・・・・。

円を書くように、数回僕の腹筋を撫でると、エミーの手は、少しさがり、急速にその存在を
主張しつつある部分に、一瞬触れると、すぐに、僕から離れた。

「ウフフフフ・・・、コーヒー入れるわね」

完全にはぐらかされた僕は、深呼吸して、凶暴な衝動をかろうじて抑えた。

とにかく、落ち着かなければ!

「あっちのソファーで飲まない。」

僕は、深呼吸すると、一日中でも撫でてていたくなるような、なめし皮のソファーに
エミーと向かい合う形で腰をおろした。

「雨の日に古いカントリーブルーズなんて合いすぎじゃなくて。」

僕は、上の空だった。なぜなら、向こうに座っているエミーのガウンの膝がはだけて、
深い紫色のネグリジェと、さらにその奥の同色の小さな逆三角形の部分がモロ見えだったのだ。

僕は、慌てて、見をそらした。

「どうしたの・・・、コーヒー冷めるわよ。」

僕は、すべての煩悩をさますかのように、一息でコーヒーを飲み干した。

この間よりも、ずっと苦い味がした。

エミーは、はだけたガウンを気にするようでもなく、さらに大胆に膝を開いた。
その秘められた部分は、さらにその下の豊富なしげみのせいで、ほとんど黒に見えた。

エミーは、コーヒーカップを下におくと、小さな唇をいやらしいほどにゆっくりとなめまわした。
エミーが、足を少し上に持ち上げたので、その薄い布地は、エミーのデルタ地帯に
完全に食い込み、はっきりとした一筋の谷間を形作って見えた。

エミーがまた少しだけ膝を開いた。

突然、僕の頭の中で、何かが炸裂した!

僕は、エミーに掴みかかるように抱きつくと、ソファーに押し倒した。
ガウンがはだけ、シースルーのネグリジェを通して、たわわな胸があらわになった。

僕の手にあまる大きさだった。

「ちょっと、乱暴じゃなくって・・・」

エミーは、たいして動じることもなく、落ち着いた声で僕をたしなめた。

「エミー、エミー、エミー、エミー・・・」

僕は、うわごとのように、彼女の名を呼ぶと、その豊満な胸の感触を楽しんだ。

エミーは、怒ったような少し怖い目をして、下から僕の目をじっと見つめていた。

そのうち、妙に、ロバート・ジョンスンの声が頭の中で反響してきて、やがて、
かすみがかかったようになり、僕は、深い眠りに落ちていった。


意識がなくなる前、僕は、擦り切れたボトルネックギターの音色とシンクロする、
悪魔のようなエミーの笑い声を、確かに聞いた気がした。

****************************************

「ウウウウウ・・・・・」

どのくらい時間がたっただろう。僕は、乳色のもやの中で重たげなまぶたを開いた。

やがて、少しずつ視界がはっきりしてきて、赤みがかったチーク材のダイニングセットと、
やわらかい明かりが見えた。
僕は、頭を振って立ち上がろうとした。

「うっ!!!!!?」

手が動かないのだ!その上、僕は、全裸だった。

手を、体の後ろで、何かに縛りつけられていることに気が付いた。


意識が急速にはっきりしてきた。ここは、多分エミーの寝室だろう。

僕は、あぐらをかいた状態で、背中に大きなダブルベットの支柱を背負う形で、
両腕を縛り付けられていたのだ!

「あら、おおかみさんお目覚めかしら?」


面しているリビングからの逆光に、エミーのシルエットが浮かびあがった。

彼女の完璧ともいえるプロポーションが影絵となって、再び僕の本能を刺激した。

カチッという音がして、とたんにまばゆい光に僕は目を閉じた。
エミーが寝室の明かりをつけたのだ。

彼女は、膝上丈のとても短いネグリジェだけだった。

そして、そのシースルーのネグリジェは、その下の完璧なボディの造詣と、
むっちりとした下半身に食い込む極小のパンティをかえって際立たせていた。

それだけで、先ほどの体の熱さがすぐによみがえって来た。

「元気がいいのは認めるけど、女の扱いにはマナーがあるのよ。罰を覚悟しなさい」

エミーは、僕のほほにやさしく手を当てると、

「でも、安心して、体に傷つけたりしないわ。きれいなからだなんですもの
 わたしの体は、どんな匂いがするかしら・・・・、みんな嗅がせてあげる・・・」

そういうと、エミーは、僕の前に膝を折ると、僕の頭を抱きしめた。
エミーの豊満な胸の隆起に僕の顔は埋まってしまい、マショマロのような肉の感触と、
柑橘系の香水と混じった甘い香りに僕は陶然となった。

「これは、周りの人への香り・・・・そして・・・・」

エミーは立ち上がると、ネグリジェの裾をゆっくりと持ち上げはじめた。

僕の眼前数センチに、色の透ける、紫色のシルクのパンティにかろうじて覆われた、
エミーのデルタ地帯が出現した。

その下の濃い茂みは、うずを巻く形で、むりやり小さすぎるデルタ地帯に押し込まれ、
少し湿って、薄いシルクの布地を押し上げていた。

エミーは、僕の後頭部にやさしく手をかけると、ゆっくりと僕の顔をそのデルタ地帯に
近づけていった。

すぐに、ぷぅぅぅぅんとやや刺激臭の甘酸っぱい香りが僕の鼻腔を刺激した。
蕩けるようなムスクの香りに、僕の股間は意思のコントロールを離れ、自らの力で、
強く天を仰いで、そそり立った。

「これは、愛しい人への香り・・・・・・」

エミーは、再び、膝を折ると、僕の固くなった棒をそっと手をふれた。

「うふっ、かわいいわ。でも、まだ早いわよ。こんな匂いはどうかしら」

エミーは、くるりと僕に背を向けると、床に手をついて四つんばいになった。

そのまま、肩越しに例のいたずらっ子のような目をして、僕の方ににじり寄った。

巨大な双球が、深い深い尻割れの影を落として、僕の眼前一杯に近づいて来た。

ほんの申し訳程度の紫色のパンティは、尻割れにきつく食い込んで、それがやわらかすぎる
尻肉に赤い跡をつけているのがはっきりと見えた。

「そして、あなたへのばつは、これ・・・・・」

エミーは、そうつぶやくと、その豊すぎるヒップ僕の眼前でゆっくりと持ち上げた。

スローモーションで、近づいて来た尻が、最後に、ぐいっと持ち上げられ、
僕は、エミーの尻割れに鼻を押し込むかたちとなった。

起きがけのシャワーを浴せいか、エミーの尻割れは、全くと言っていいほど匂いがしなかった。

石鹸の匂いと、少し、前のほうの割れ目の甘い刺激的な匂いが、少し感じられる程度だった。

「うふふふ、想像できないかもしれないけど、わたしだって、ガスを出すのよ。
 それも、とっても危険なやつを・・・・」

僕は、信じられなかった。男なら誰だって、こんな美人のおならは想像できないだろう。

僕は、決して不快ではなかった。
エミーのお尻の感触は、堅すぎず、やわらかすぎず、弾力があって、何よりも、
たっぷりと豊かで、しかも決して汚物的な匂いのしない。
こんな芸術的なお尻なら、男なら誰でも、顔をうずめてみたくなるだろう。

多少、おならでもしてもらった方が、人間らしくてほっとすると、僕はその時思っていた。

僕は、エミーのガスの発射を待つように彼女の無臭のお尻の感触楽しんでいた。

エミーは、尻を僕の顔に押し付けたまま、じっと静止していた。

何も知らない僕は、そのとき、本当にエミーのおならを心待ちにしていたのだ。

しかし、何もおこらなかった。

「だめねぇ。そんな気になれそうにない。かわいそうだわ。」

エミーは、また僕のほうに向き直るとしゃがみこんで、僕と目をあわせた。

ネグリジェの膝がはだけて、またデルタ地帯が覗いた。

エミーは、僕の股間で、納まりがつかなくなっている欲望のかたまりに、
やさしく手を添えると、今度は、羽毛でなぶるようにじわり、じわりとしごきだした。

「あああ・・・・っ!」

僕の股間に、ジーンとむずがゆさが走り、そのあまりの快感に僕は、
男を知らない小娘のように身悶えた。

「わたし、ほんとはスカンクなの。とてもとてもくさいガスが出せるのよ。
 わたしをいじめるやつには、強烈なオナラガスを嗅がせてやるの・・・・」

僕は、イキそうだった。突然、エミーは、僕の欲望から手を離すと、
例の吸い込まれるような目で僕をじっと見つめて、

「さっきみたいにわたしに乱暴すると、おならをひっかけてやる」

解き放つ手段を無くした僕の欲望は、むなしく自身で上下を繰り返すだけで、
僕の内部でさらに増幅した。

エミーは、今度は、爆発寸前の欲望の中心には触れないで、僕の太股の内側を、
そよ風のタッチで撫で上げた。

「わたしのおならは、それはくさくて、くさくて、命を落とすかもしれなくてよ・・・」

押さえ込まれた僕の欲望は、内側から、僕を責め立て、僕は、発狂しそうだった。

「あなたが本当に反省しないと、さっきみたいに、顔にお尻を押し付けて、スカンクの
 ものすごくクサイおならをしてやるわ」

エミーは、再び、僕の欲望の中心にそそっと触れると

「わたしがスカンクでも、あなた、わたしを押し倒す勇気があって?」

「エミー、君が好きだ。たとえスカンクでもなんでも!愛してる」

「でも、死ぬほど、おならがくさいのよ」

「僕の顔に、あなたのくさいガスを、くさいガスを、かけてください!」

「うふっ、いい子。スカンクをすきだって言ってくれた上に、ガスまで受け入れるって、
 その言葉で満足したわ。開放してあげる。」

エミーは、僕の両手の皮ひもを解いて、自由にした。

「もう少しで、あなたに、本当に、おならガスをお見舞いしてしまうところだったわ」

エミーは、またいたずらっぽい笑顔で微笑んだ。

「エミーっ!」

僕は、すべての欲望をパワーにして、エミーに掴みかかった。

「キャっ」

エミーは、意外に幼い声で小さく悲鳴をあげると、四つんばいのままで僕にお尻を向けた。

ためらうことなく、僕は、エミーの短いネグリジェを捲くりあげると、薄いパンティを
ひきちぎり、その豊かな尻割れに顔をうずめた。

「ちょっと、それは、だめっ、あっ!」

僕の舌が、エミーの森林地帯の奥の泉に届いたのだ。
僕は、溢れ出した泉を飲み干す勢いで舌を動かした。
すぐにそれは、ぴちゃ、ぴちゃと音をたてはじめた。

ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃ・・・・

「ああっ、だめっ、ほんとにオナラ出ちゃう・・・死んじゃうよ」

ぴちゃ、ぴちゃ、れろ、れろ・・・・

「ガスが、ガスが、もう我慢できない、わたし、ほんとにスカンクなんだからぁ!」

れろ、れろ、こりこりこり、コリコリコリコリ・コリッ!

「もうだめぇー、あああああああ・・・・・・、ごめんなさい」

エミーの尻割れの奥底深く、顔を押し付けていた僕は、ちょうど鼻の前のつぼみが
盛り上がるのがわかった。
エミーのエクボのようなそのつぼみは、びっくりするくらい膨らむと、大きく開き、
僕の鼻先ではじけた。

ぶすすすぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅうううううぅぅぅすうぅぅぅぅっぅううううううぅぅ


めいっぱいひらいた肛門から、ドス黄色いガスが音も無く噴出をはじめた。
発射孔に鼻を押し付けていた僕は、荒くなっていた呼吸で、その火のようなガスを
モロに嗅いでしまった。

「ぐぎゃーっ!!!!!!」

キャベツをどろどろに腐らせた悪臭に、アンモニアを加えて一千倍しても、
まだ足りないくらいの激烈な悪臭に、僕の嗅覚は一瞬にして、破壊され、
強烈すぎるその刺激臭は、僕の視覚までもダメにした。

すうううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅすぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ

エミーの肛門からのガスの放出は止まらなかった。

図書館とは比べ物にならないくらいの濃い悪臭が部屋中に充満しだした。


「くせーっ、ごほっ、ぐほっ、くさい、くさい、ぐほっ、げーっ」

悪臭にむせ返るたびに、新たな悪臭を吸い込みながら、僕は、涙を流して、転げまわった。


すすすすうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅううううううううっ

「うげっ、うげっ、ぐひっ、うげーっ!!!!」

すすすうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ

胃の中のランチをすべてぶちまけ、悶え苦しむ僕に、エミーの尻割れの奥底から、
尽きることなく放出される新たなガスが襲い掛かる。
エミーのガスの臭気は、僕の脳みそまでも犯し、脳細胞を、ぶちぶちと破壊しながら、
僕の意識の奥底まで、けっして消えることのないその悪臭を植え付けていった。

「うっ、うっ、くふっ、はふっ、はふはふはふ・・・くくくくく・・・・」

エミーのおならのものすごい臭気は、肺を徐々に犯しはじめ、呼吸困難におちいった僕は、
えびのように体をおりまげながら、口を金魚のように開けて、手足を震わせるだけだった。

僕の視界が消えうせていった・・・・・


うすれゆく意識の中で、僕の上にまたがり、洪水のように濡れまくった自分の股間の裂け目に、
僕の欲望の中心を、深くくわえ込みながら、狂ったように身悶える大きなメスの獣の夢を見た。

その獣は、黒いビロードのような毛並の中に、一本の白い筋が目立っていた・・・・

「なんだ、エミーは、ほんとにスカンク娘だったんだ・・・・」

スカンク娘は、ふさふさした大きな尻尾を震わせながら、息も絶え絶えにあえいでいた。

そのたびに僕の欲望の中心は、しぼられ、その快感に、僕も声をだしながら、いつのまにか、
激しく腰を使っていた。

僕の欲望の中心がスカンク娘の股間を下から突き上げるたびに、彼女は、
悲鳴というには甘すぎる叫び声を上げ続けた。

僕が、突き上げるピッチをどんどん早くすると、もはや、スカンク娘は叫ぶことも
出来なくなり、せつなげにすすり泣くのが精一杯になった。

僕は、スカンク娘の腰に手を回して彼女の体を固定すると、全力で、大きく二三度、
腰を突き上げた。

なすすべのないスカンク娘は、ひときわ大きく叫ぶと、おとがいを後ろにそらせて、
全身で痙攣した。

同時に、いままで経験したこともない、むずがゆいような強烈な感触が、僕の股間から、
脳天まで、突き抜けていった。

僕は、たまりにたまった自分の欲望を、そのメスの獣の体内で思う存分放出し、
開放したのち、何もわからなくなった。


****************************************

僕の頬に、ひんやりとしたしずくがかかったような気がした。
それが、なんどか繰り返される徐々に意識がはっきりとしてきて、
金色の光の中に自分がいることがわかった。

僕はやっとの思いで、目ヤニでべとべとに固まったまぶたを開けた。

すぐに小鳥の声が耳に飛び込んできて、ほんとうにすがすがしい朝の風が、
僕の全身を撫でるのをはっきりと感じることができた。

僕は、朝日がさんさんと降り注ぐ、テラスで目覚めたのだった。

僕は、少し頭痛の残る頭を左右に振りながら、大きく伸びをした。

鼻の穴が焼けるようで、ほとんど嗅覚が麻痺していることがわかった。

でも、それ以外は、確かに生きているみたいだった。

「よかった。大丈夫だったのね。ほんとうによかったわ。」

気が付くと、白いミニのワンピースを着たエミーが、傍らにうれしそうにたっていた。

朝日の中で、エミーは、白い妖精のように見えた。

「はいっ、これトマトジュース。民間療法だけど、消臭効果があるの。たっぷり飲んで、
 その後、体もこれで洗うといいわ」

「きみはいったい?」

「エミーよ。言ったじゃない。」

「でも、昨日・・・・・」

「あれほどのコミュニケーションをしておいて、それ以上何が必要なの?」

「よかったかどうか聞いておきたいんだ。男として、これから自信をもって生きていくために」

「バカ・・・・・・・」

初夏のまばゆい光の中でも、はっきりとわかるくらい赤くなったエミーは、僕の胸に、
埋めることで、かろうじて、その頬を隠した。

エミーのサラサラの髪が僕の鼻先をかすめ、僕は、その甘いリンスの香りを嗅いだ・・・・
ような気がした。

FIN

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