リスマスイブの朝。目覚まし代わりにしているMahlerのNo.1シンフォニーの第一楽章の半ばで、既に僕は目覚めていた。いつもは、第四楽章の嵐のようなオーケストラの咆哮で目覚めるのが常だったが・・・
7:00AMおだやかな真冬の晴天。
上半身裸のまま、部屋じゅうの窓を開け放つと、僕は、1年で一度だけめぐってくる、幸福なふたりの日に感謝の祈りをささげた。
仕上げとして、オレンジをひとつ取り出すと、フレッシュジュースにして、一気に飲み干した。
これで、幸せな一日の始まりとしては、完璧だった。
そのまま、僕は、スウェットスーツの上下に着替えると、エントランスに無造作に立てかけてあるコルナゴのロードレーサーで、軽くジョギング代わりに、近所の砧公園を数周して、自分の運動神経の状態を確認した。
シャワーを浴びて、コーヒーを沸かしている時に、電話がなった。
「おはようございます。せんせい、おきてました?」
「Bonjour! Mademoiselle. Il fait beau. Comment allez-vous?」
「ああ、びっくりした。いきなりフランス語できましたね。」
「何語がいい?」
「関西弁!」
「それは、無理だ。東京以外で暮らしたことがないんだ。」
「冗談ですよ。なんかドキドキしちゃって、電話しちゃいました。」
「準備が出来たら、11時目処に迎えにいく。」
「なんか、せんせいの声聞いたら、もっとドキドキしてきました。」
「じゃあ、10時。」
「うれしい!まってまーす」
電話を切った後も、沙紀の弾んだ声がしばらく耳の中でリフレインしていた。
「さーてと、着替えるか」
僕は、買ったばかりのブルックスブラザースのボタンダウンシャツのパッケージを開いた。
同じく、降ろしたてのヘインズのTシャツの上に、オックスフォード生地のやや厚めのシャツをはおっただけで、それほど寒さを感じないほどの暖かいクリスマスイブだった。
注意深く、プレーンノットでライトピンクのタイを結ぶ。ツイてる!苦手なディンプルが今日はいっぱつで決まった。
たちまち鏡の中で、ひとりの若者が、トラッドなテイストでコーディネートされていった。
僕は、仕上げにあらかじめクリーニングに出しておいたラルフローレンのネービーブルーのブレザーに袖を通してみた。
よし、少なくても今日は道路工事に行くようには見えないぞ
最後に、沙紀へのプレゼントの小さな小箱をポケットに入れると、僕は、明るい冬の一日に向かって、White
Christmasのメロディを口笛で吹きながら、部屋を出た。
地下の駐車場では、ピカピカに磨きあげられたダークブルーのゴルフGTIが、僕を待っていた。
ブレザーを注意深くたたむと、リアシートに置いた。ドライバーズシートに腰をおろすと、エンジンをスタートするまえに、革張りのステアリングをぐるっとなでて、いつものおまじないも忘れなかった。
「今日は、大切な人と、大切な日なんだ。たのんだぞ・・・・」
セルモーターの最初のうなりで、目覚めたDOHCサウンドが、GTIの僕への答えだった。
僕は、僕だけのために、ひとりの少女が精一杯の笑顔で待つ町へ、静かにGTIのクラッチをつないだ。
いつもの角をまがって、沙紀の家が見えてくると、白いフェアリーがもう僕を待っていることがわかった。
僕は、GTIをすべるようにその前に止めると、ブレザーを着て、彼女の前に降り立った。
「Merry Christmas! A pretty snow fairy, May I go to Christmas wonderland
with you?」
白いフェアリーが笑顔で応じた。
「Merry Christmas! That sound like so fantastic! It’s my great pleasure.
Could you take me to your wonderland? 」
「Yes, I could. It’s my great pleasure, too. I‘ll be delighted to do
anything
for you. 」
そこで、僕は、微笑んだ。
「英語うまくなったな」
「朝、フランス語できた時に、たぶん次は英語だろうとよんでたんです。」
「よまれてたか、よしっ、関西弁を練習して出直そう」
そこで、僕たちは、盛大に笑いあった。
沙紀は、この間買った柔らかいアンゴラの白いセーターに、小さな白い水玉模様が入ったプリーツの黒いミニスカートで、その上にベージュのふわふわっとしたショートコートを羽織っていた。
その年頃の女の子だけが出せる魅力が凝縮されたような、ひとりのフェアリーが出来上がっていた。
「完璧に似合ってかわいい。」
「でも、このコート借り物なんです。ママから借りてきちゃった。」
「そうだ、挨拶しておかないと。ママはいるかい?」
「もうパパとでかけちゃいました。沙紀は、預かってくれる人がいるから安心だって。
今日帰ってくるつもりなのかしら・・・」
さすがの僕も、とっさにレスポンスができずに、言葉を飲み込んだ。
僕は、中くらいのルイヴィトンのバックと、ピクニックバスケットをGTIのトランクへ収めると、ナビゲーターシートのドアを開けた。
「さあ、行こうか」
僕は、この日のためにテープにとっておいた、Ono LisaのニューアルバムBoas
Festasをかけながら、GTIをスタートさせた。軽快で、ややトロピカルなボサノバのクリスマスソングにあわせて、GTIは、環八を南下し、すぐに見慣れた第三京浜のサインが見えてきた。
僕は、いつもより、慎重にダブルクラッチで、2速に落とすと、ループを抜けた。
そして、多摩川大橋の広い三車線のストレイトが見えると、徐々にギアをあげていった。
GTIは、僕の意思に忠実にジェントルに加速していった。僕は、4速3000r.p.m.100kmに保つと、そのまま、クルージングを続けた。
沙紀は、リズムにあわせて、軽くハミングしながら、明るい冬の青空のした、海までのクルージングを楽しんでいた。
「この道、夏に通った道と同じですよね。」
「ああ、まだ時間があるから、城ヶ島でランチにして、三浦半島を一周して、長者が崎で、夕日を見てから、なぎさホテルに行こう。」
「すてきなすてきなシーサイドクリスマスですね。わーい、わーい」
順調に第三京浜を抜けて、横浜新道に入るところで少しつまった以外は、GTIは、快適にそのDOHCサウンドを奏でながら、横浜横須賀道路に入っていた。
典型的な日本の田舎の景色も、ボサノバ調のWhite Christmasのメロディと、幸せそうな少女の笑顔が隣にあっては、文句のつけようがなかった。
それにしても、今日の沙紀は、まぶしかった。まだ大人になる少し前の、はかなげな上半身のラインが、柔らかな白いアンゴラの生地で、やさしく包み込まれて、控えめに、あるいは饒舌に、僕にその存在を主張していた。特に、胸の部分は、いつの間にか僕の手の平と比べられるぐらいの存在感を示していた。そして、今日の幸せな日、僕は、沙紀とその少女の体を共用することが許されるのだ。愛情という同意をもって・・・
「せんせーい」
「えっ?」
沙紀は、いたずらっぽく目を輝かせると
「実は、ひとつだけ、たいへんなことがあるんです。」
「なに?」
「沙紀、ずっと1週間ドキドキしっぱなしで、緊張してしまって、一度も、行けてないんで
す。」
「どこへ?」
「ひみつ・・・」
沙紀は、大きく伸びをしながら、僕へ、笑いかけた。いつもと違って、その小さな唇には、控えめにピンクのルージュが塗られていた。
「あの・・・、遅くなってもすこし休めるように、一応、部屋を予約してあるんだけど・・・
キャンセルしたほうが安全かな・・・」
「今日は、ずっと沙紀と一緒にいてくれるっていわないと・・・泣いちゃうだけではすみませんよ」
「なハハハハハハ・・・・」
トンネルを3つ抜けると、もう逗子のインターだ。
「夏は、ここで違う道にいったんですよね」
「ああ、そうすればすぐ森戸なんだけど、今日は、時間があるから、三崎にいってからにしよう。」
横浜横須賀道路を終点の衣笠インターでおりて、暖かな冬の日差しのふりそそぐ三浦三崎の町へ入った僕たちは、そのままR134へ出て、海沿いの道を南下した。
海が見えると、沙紀は歓声をあげた。
季節はずれの三浦海岸は、明るい冬の日差しの中で、どこまでも静かだった。
「なんか、もうお正月みたいですね」
「日本の年末は、2度イベントがあるからいいよね。」
三浦海岸で、一度GTIを止めた。
季節はずれのビーチには、人影もなく、夏のざわめきは、もう遠い別世界の出来事だった。
「すてきなクリスマスだーいすき!」
沙紀が、誰もいない波うち際に向かって大きく伸びをして叫んだ。
僕は、GTIにもたれながら、そんな沙紀を見つめていた。
三浦海岸から、R134と別れて、金田海水浴場に向かう海沿いの田舎道をいくことにした。
三崎の先端の東側は、暖かい昼の日差しのなかで、のんびり釣をたのしむ人の姿がちらほら見えるくらいだった。江奈湾を左に見ながら海といったんお別れすると、僕は、ギアを2速に落として、少しばかり、ワインディングロードを楽しんだ。あくまでも、ナビゲータシートの沙紀を気遣いながら。すぐに、城ヶ島大橋が見えてきて、渡りきると、冬の海沿いの田舎町にまたワープした。僕たちは、夏に来た小高い公園の駐車場にGTIを止めると、ランチのバスケットを抱えて、ユースホステルの裏手を抜けて、太平洋を望む断崖の広場に並んで腰をおろした。時々海どりがのんびりと滑降する以外は、釣をする人の姿も見えず、この広い太平洋を断崖の上から見下ろしながら、沙紀とふたりきりになってしまったような感じがした。
僕は、しばらく冬の日ざしに目を細めながら、きらきら光る海面を見ていた。
「さあ、せんせい、おやくそくのお弁当でーす」
バスケットの中は、ほとんど一口サイズのちいさなサンドイッチがにぎやかに並んでいた。
「これは、かわいい」
「ものたりないですかぁ」
「充分だよ」
僕は、無造作にその中のひとつをつまむと口に放り込んだ。沙紀が、じっと見つめている。
「おいしいじゃん。ちゃんとバター使っているし、たいへんだったろう」
「よかったぁ。せんせい、食べてくれないかと思った。」
「僕は、なんでも食べるよ。好き嫌いないし、沙紀ちゃんには、将来いろいろ覚えてもらいたいんで、いろんなトコへ連れて行くんだけど・・・」
沙紀が、すごくうれしそうな顔で、ニコリとした。僕は、自分の深層心理の無意識な発言に、自分自身で、驚いていた。僕は、照れ隠しに、クーラーボックスから、緑色のビンのアップルサイダーを取り出すと、栓抜きをさがした。
「あっ、ごめんなさい!栓抜きわすれちゃったみたい。こっちのエビアンでも飲んでいてください。」
「大丈夫だよ。」
僕は、すこし、王冠のふちを歯でかんでへりを浮かすと、片手でビンの首を握って、親指で無造作に、王冠を押し上げて、ビンからとばした。
「すごーい!なんで、そんなに力があるんですか」
沙紀が目を丸くした。
「高校の時、一生懸命練習させられたんだ、将来、女の子とふたりの時に、栓抜きがなくても、困らないように。」
「なんか、とっても安心します。ずっと、」
そこで、沙紀は、僕の肩にもたれかかってきた。
「いっしょに・・・・」
僕は、陽だまりの中で、沙紀の華奢な肩を片手で引き寄せた。明るい冬空のしたを、白いかもめが、気持ちよさそうに通り過ぎていった。
しばらく、僕と沙紀は、誰もいない断崖の上で、穏やかな海を見つめていた。
「さあ、食べよう。」
「そうですね。なんか、ぽかぽかして気持ちよくなっちゃいました。胸いっぱいなんですけど、おなかもすきました。だから、デブなんですね。わたし・・・」
沙紀が丁寧につくってくれたちっちゃなサンドイッチを平らげると、魔法瓶に入れてきたコーヒーをわけあって、沙紀は、チョコレート、僕は、シガリロに火をつけた。
それから、30分くらい、ふたりで、陽だまりの中で過ごした。僕は、時々、タバコに火をつけ、
沙紀は、ずっと、僕の肩にもたれて海を見つめていた。
すこし日が傾くと、僕たちは、またGTIをスタートさせた。
油坪をすぎて、長者が崎についた時は、もう早い冬の日は、そろそろ夕方の気配を見せていた。
僕たちは、日の落ちる前に、森戸の田舎町を抜け、由比ガ浜の手前の古いリゾートホテルにチェックインした。
戦前からの由緒あるメインダイニングには、大きなクリスマスツリーが飾られ、波音にまじってクリスマスソングのピアノ演奏が始まっていた。
「わー、すてきー!」
「まず、部屋に荷物を入れて、一息つこう。ディナーは6時からだから」
僕は、沙紀のヴィトンのバックと、自分のラルフローレンのバックを両手に持ちながら、このホテルをひいきにしていた戦前の名士達のセピア色の写真の飾られた階段をぎしぎしいわせて上っていった。
由比ガ浜に面した部屋は、長い年月からくる心休まる落ち着きにあふれていた。沙紀は、海の見える窓のところにいくと、まだ、少し明るさの残っているオレンジ色の空をバックにしたR134の車のヘッドライトの流れや、江ノ島の明かりを暫く見つめていが、突然、こちらを振り返ると
「せんせい、とうとうクリスマスイブがきましたね。沙紀、今までで、最高のイブです。
うれしい・・・・」
といって、僕の胸にとびこんできた。僕は、部屋のあかりをつけるのも忘れて、沙紀を抱きとめて、暫く髪を撫でていた。
ダイニングから、聞こえてくるクリスマスソングと、波の音、胸の中の少女の暖かさ、これからも何度も思い出すだろう一瞬の宝石のような時間・・・
沙紀は、僕の胸から顔を離すと
「シャワーを浴びて、着替えます。ディナー用にちゃんと長いスカートももって来たんです。」
「えっ」
「あっ、せんせい、一瞬残念そうな顔した。今日はこれからイメチェンして、ちゃんと大人のクリスマスイブをするんです。」
「じゃあ、ラウンジで待ってるよ。タバコも吸いたいし、ゆっくりとイメチェンしてきて」
女の子がシャワーを浴びて、オツクリするのを同じ部屋で待っているというのも間抜けだ。僕は、ラウンジで沙紀を待つことにした。
カウンターバーの止まり木に腰をおろすと、食前酒代わりにドライシェリーを注文して、プチコロナサイズの軽いシガーの吸い口を切った。これで、40分は、楽しく待つことができる。
そろそろ、何組かのロコのカップルが同じようにクリスマスディナーを目当てに集まりだして来ていた。どの顔も幸せそうに見えた。シガーを半分くらいすい終わったところで、
「お待たせしました。ジャーン」
光沢のある黒いベルベットのロングスカートに履き替えて、精一杯メイクした沙紀が現れた。可憐な少女から、愛らしい女へと変身した沙紀を見て、一瞬息を飲み込んだ。
「うん、きれいだ・・・・」
とっさに間抜けなレスポンスしかできない自分がなさけなかったが、沙紀はうれしそうに、
「やったー、せんせい、男の目でみてくれましたね。」
「オレンジジュースでも飲むかい?」
僕は、照れ隠しに聞いた。
「ぶぅー、そんなのじゃなくて、そう、お酒にします。」
「あのぉ、高校生はお酒飲んじゃいけないんだけど・・・」
「あっ、またそんなこと言う!後で、どうなってもしらないからぁ」
僕は、苦笑してスウィートシェリーをひとつ注文した。
「なめるだけにしておくんだよ。まだ、アルコールは、いろいろ出るから・・・」
「おいしい!」
僕は、沙紀が全部飲み干してしまう前に
「じゃあ、メインダイニングに行こうか。そろそろ、準備が出来てるみたいだよ」
と肩に手をまわして、エスコートした。しかし、既に沙紀は、目のふちをしっかりと赤く染めていた。
メインダイニングは、もうディナーの準備が完了していて、各テーブルのキャンドルとクリスマスツリーの点滅が、幸せなクリスマスイブの始まりを告げていた。
僕は、名前を告げて、あらかじめキープしておいた窓際の席に沙紀をエスコートした。
クリスマスディナーのメニューは、アンティパストが、海の幸のテリーヌ、魚が、生牡蠣か、スズキのクリーム煮のチョイス、メインがターキーかステーキをチョイスできた。
魚のデッシュを、僕が牡蠣、沙紀がスズキをチョイスして、メインは二人ともターキーにした。
飲み物は、迷ったが、あまりこの若さで凝りすぎるよりも、比較的安めのフィンランド製のドライシャンパンにして、メインの時に、僕だけ、レッドワインを頼むことにした。シャンパンがグラスに注がれて、小さな泡がキャンドルライトに反射して光の粒になって立ち上ると、沙紀は、大切そうにそれを見つめて
「こんなステキなイブにエスコートしてくれて、沙紀、感激です。」
「じゃあ、乾杯しよう。これまでのふたりの時間と、これからのふたりの未来に・・・ Here’s
to you! Cheers!」
「Cheers! ステキなナツトさん」
そこで、前菜のテリーヌが運ばれてきた。
「きゃーっ、カワイイ!」
色とりどりの海の幸の宝石箱のようなテリーヌに沙紀が歓声を上げた。オレンジソースの中のアクセントには、キャビアがおごってあった。ドライシャンパンをチョイスしたのは、正解だったなと僕が思った時、テリーヌとともに、もう沙紀のグラスは空になっていた。
「あの、沙紀ちゃん、ジュースたのもうか」
「何いってるんですか、こんなにおいしいのに」
「でも、一応お酒だから、飲みすぎないように」
魚料理は、オーソドックスなスズキのクリーム煮と、生牡蠣で、これもまた、シャンパンが進んだ。決して甘くないシャンパンと生牡蠣の取り合わせは、グッドで、僕たちは、料理を半分ずつシェアして楽しんだ。しかし、魚料理が終わったところで、ハーフサイズのシャンパンは、とっくに空になっていた。沙紀は、かなり赤くなってトロンとした目つきが、かわいいと言えばかわいかったが、僕は、ちょっと心配になってきた。
「せんせーい、なんか、とっても気持ちいいでーす。」
「もう、お酒は止めといたほうがいいよ。気持ち悪くなるとたいへんだから」
そこで、ちょうどソムリエが飲み物の追加を聞きに来た。僕は、ワインリストをざっと眺めて、ボルドーのベレールのハーフボトルをひとつ注文した。当然、グラスはふたつ運ばれてきて、例のテイスティングの儀式の間中,好奇心一杯で見つめている沙紀に、飲むなとは言えなかった。そこで、メインのターキーが運ばれてきた。濃厚なフォンの効いたソースに、果実味が豊かでなめらかなベレールでは、やや役不足だが、これは、これで、満足できる組み合わせだった。
「せぇんせーい、このおさけも、とぉぉってもおいしいでーす。」
「ちょっと、沙紀ちゃん、残したほうがいい。」
「なにいってんですかぁー、まだまだ、沙紀はいけますって、ヶヶヶヶヶヶ・・・」
沙紀は、細い体に似合わず、きれいにメインディッシュまで平らげると、しっかりと、ワインも飲み干していた。
デザートにケーキが運ばれてくると、沙紀がまた歓声を上げた。
「ひゃー、ケーキだーっ、だいすきー!」
となりのカップルがこちらを見て、クスクスわらっているのが聞こえた。
ここで、プレゼント交換タイムとしたかったのだが、もはや、沙紀は、完全に出来上がってしまっていて、何を言っても大騒ぎになりそうで、後まわしにせざるを得ないと決心した。
沙紀は、ケーキを僕の3倍のスピードで詰め込むと、トロンとした目で、満足そうに微笑んだ。
「せぇんせーい、ナツトさーん、とっともおいしかったでーす、しあわせれす、だいすきれーす、ケケケケケケ・・・」
また、隣のカップルがクスクス笑うのが聞こえた。
「そうだ、ひとつだけ、たいへんなことがありまひた・・・、沙紀、ずぅぅうと、緊張しっぱなしで、1週間ずぅぅぅと、一度も行っていないんですぅ」
「えっ?」
沙紀は、いたずらっ子のような眼で、僕の顔をじっと見つめると、僕の耳に手をあてて、
ひとこと
「うんにょ・・・」
と言うと、甲高い声で笑いだした。
僕は、このかわいくて、こまった酔っ払いをつれて、速やかに部屋に引き上げる必要を感じた。そして、ウエイターに、満足した旨を告げて、テーブルを後にした。
「大丈夫かい?」
「なにいってんですかぁ、沙紀は、いい気持ちでーす。」
僕は、沙紀をぶら下げるようにして、階段を上っていった。部屋に入ると、いきなり沙紀が僕の首にしがみついてきた。
「せんせぇー、やくそくれす。ちゃんとキスしてください。じゃないと、スカンクちゃん、こわいですよぉー」
「まあ、沙紀ちゃん、ベットに少し横になって、」
僕は、沙紀を抱き上げるとベットに降ろした。沙紀は、うれしそうに、僕の顔を見つめて首に手を回して来たが、僕は、さすがに、それ以上の行為をするつもりはなかった。
「酔いが覚めたら、家まで送るから。外泊させるわけにはいかない。」
それを聞くと、沙紀は、泣きそうな顔をした。
「今日は、ずーっと、せぇんせーといっしょにいるって決めてきたんです。そんなこと、言うとぉー」
突然、沙紀がすごい力で、僕をねじ伏せると、僕の胸に馬乗りになった。一瞬の出来事で僕があっけに取られていると、沙紀は、上から、僕の顔を覗き込んで、
「沙紀は、ほんとうに、せんせいといっしょにいられることを楽しみにしていたんです。
だからぁ、パンツだって、おこちゃまじゃない、ちゃんとシルクのにして・・・、きゃ!」
「でも、せんせいったら・・・」
沙紀のつぶらな瞳にみるみる大粒の涙がうかんだ。
僕が、何か言おうとしたとき、沙紀は、僕の頭をロングスカートの中に押し込んだ。
視界が暗くなり、薄暗い中で、黒い網タイツの奥のライトブルーの小さなトライアングルがすぐ近くに見えた。それは、縫い目あたりから、一本のくっきりした筋がはっていて、さらに深いその裏の谷間につづいているのが、しっかりと確認することができた。
「せんせいに、オシオキ!沙紀は、今日、ムードを壊さないように、オゲレツなことは、ずーと我慢してたんだからぁ。でも、でちゃうんですよねぇ。スカンクちゃんの1週間ものの毒ガスが、どのくらいクサイか、ヶヶヶヶヶヶ・・・」
僕は、急いで、息を止めた。すぐに、
ブスぅぅぅぅっ
と音がして、胸板が振動し、沙紀のお尻が乗っているあたりが、かなりアつーくなった。おそろしく密度の濃い気体が、厚い布地で密閉されたロングスカートの中で、モアぁぁぁあーっと、漂ってくるのが、はっきり認識できた。
沙紀が、甲高い笑い声をあげた。
沙紀のおならガスは、信じられない程の密度を保ちながら、僕の鼻のあたりまで、ただよってきた。僕は、必死に息を止めていたが、すぐに、目があけてられないほどの刺激を感じ、そのすさまじいばかりの臭気が想像できた。
これを嗅いだら死ぬかもしれない・・・と思わせるほどの濃厚なおならガスだった。
「あれーっ、せんせい、くさくないんですかぁ?それとも、死んじゃったんじぁ・・・」
沙紀は、長いスカートをつまんで、持ち上げると
「うっ、やだーっ、なにこれぇぇー!」
と、自分で、噎せ返った。
「くっさー!ほんと、くさーい、やっぱ沙紀のおならって、きょうれつ!」
沙紀は、スカートを派手に仰いで、中の毒ガスを追い出した。
沙紀は、僕の顔を心配そうに見つめると
「あっ、せんせい、息止めてましたね、ずるぅー、」
「あたりまえじゃー、うっ、」
もう充分あたりに拡散したと思って息を吸ったのが間違いだった。卵のくさったような濃厚な悪臭に僕は、めまいがした。換気してこのくらいだったら・・・
「もう、実力行使!せんせいを気絶させて、いっしょに朝まで過ごすんだぁ」
沙紀は、今度は、僕の足の方を向いて、僕の顔にお尻を向けた。
目の前の視界一杯に、ライトブルーのシルクのパンティがきつく食い込んだ意外に成長したお尻が迫る。そのマショマロのような双球は、ふっくらとふくよかで、黒い網タイツから、こぼれんばかりだった。
「沙紀ちゃん、すかしっぺしちゃおうっと」
そこで、視界が暗くなった。沙紀が、スカートを下ろしたのだ。
沙紀は、そのまま体をずらして、僕の鼻に自分のアヌスを軽く押し付けた。
沙紀のスカンク攻撃の必殺のポジションだった。少女のおしっこくさい甘い香りと、さっきのガスの残り香が交じり合って、それだけで、僕は、はきそうになった。
ここで、沙紀におならをされたら・・・、しかも、音なし!僕は、パニックになった。
「わかった、沙紀ちゃん、降参、降参!」
僕が、叫ぶと、僕の鼻が沙紀のアヌスを刺激したのか、沙紀は、
「アアンっ!」
と甘い叫び声をあげると、お尻を振った。
「もう、せんせいったら、そんなオイタして、沙紀をその気にさせても、許しません。
ずーっと前から、実はその気だったんでーす。けけけけ・・・スカンク沙紀ちゃんの最悪の一発を体験させて、ア・ゲ・る・・・」
「音無しのおなら、いきまーす、きゃはははははは!」
僕は、最悪のおならガスに備えて、また息を止めた。
「せんせーい、息とめたってだめですよーだ!こうしちゃうんだからぁ、こちょこちょこちょ・・・・」
沙紀が僕のわき腹をくすぐった。僕は、思わず、笑ってしまい、息を吸い込んだ。
尻割れの奥底に押し込まれた僕の鼻先に触れているシルクの布地がみるみる盛り上がると、そのかわいらしいえくぼのような発射孔が、口をひらくのが、薄いパンティの布地を通しても、はっきりわかった。
そして、特別に密度の濃い重いおならガスが、ついに、僕の鼻腔目がけて、放出された。
スっヵヵ~~~ぅぅぅすすすすぅ~~~っムスゥ~~~っ
ほんとに、沙紀は、ずっとガスを我慢していたのだろう。溜まりに溜まっていたらしく、しばらく、沙紀のおならガスが、パンティを通過する音が続いた。
実に20秒にも渡る記録的なすかしっぺだった。その大部分は、モロに僕の鼻腔に流れ込み、さらに、僕の顔面に熱いガスが溢れ出した。最悪のタイミングで、息を吸い込まざるを得なかった僕は、いやでも、沙紀のスカンク級!のすかしっぺを堪能してしまった。
ゴムが焼けたようなものすごい悪臭に鼻腔が犯されて、脳みそまで、腐っていきそうだ!これは、ほんももの毒ガスである。
目の前が一瞬緑色になり、気が遠くなった。
「うっ、ぐぇ!くっ、くさーっ、げほっげほっ、げーっ」
「きゃはははは」
また、沙紀が狂ったような笑い声をあげた
厚いベルベットのロングスカートの中に充満した毒ガスは、もはや悪臭地獄以外のなにものでもなかった。
「くせぇぇぇぇーっ!」
僕は、ものすごい臭気にむせ返り、息が出来なくなった。僕は、苦しさのあまり、両手で宙をつかむと、沙紀の尻の下でもがいた。
「やだっ!あん、あん」
僕は、沙紀の尻割れの下で、狂ったように首を左右にふった。
「うぐぐうぐうぐうぐうぐうぐうぐうぐうぐうぐぐうう」
沙紀が、甘い悲鳴を上げた。
「あああん」
パンティ越しに沙紀のアヌスがすごい勢いで収縮を繰り返すのがわかった。
なんと、沙紀は、僕におならを引っかけて、自分でいってしまったのだ。
そして、再び、スカートの中に充満した毒ガスを、吸い込まざるを得ない僕は、そのあまりのくささに、なすすべもなく、鼻を破壊され、脳みそまで、ぐちゃぐちゃになって、何もわからなくなった。
どのくらい、時間がたったのか、 僕が、気が付くと、沙紀が、僕の胸によりそうようにして、寝息を立てていた。
起き上がろうにも、ガス中毒で、あたまがくらくらして、とても起き上がることができなかった。沙紀のおならの毒性は、マジで本物だったのだ。
僕が、頭をふっていると、沙紀がぼんやりと目を開けた。
「なんか、よっぱらちゃったみたいで、よく覚えてないんですけど、もしかして、沙紀、
とてつもなく下品なことしちゃったような・・・・なんかお部屋の中が、くっさいんですけどぉ・・・・もしかして・・・・」
「僕の顔の上に座って、おならをしたんだ。しかも、音のしない、生きているのが不思議なくらいクサイやつを」
「やだっ、その、ふえーん、ごめんなさい、嫌いにならないでください」
沙紀が、つぶらな瞳と、びっくりするくらい長いまつげで、すがるように見つめた。突然いとおしさの方が先にたち、僕は、両手で、沙紀の赤ちゃんのような頬を包むと、そっと僕の唇を重ねた。
キスの間、僕の片方の手は、沙紀のまだ発展途上の胸をふんわりとしたセーターの上からやんわりと円を描くように揉みくだしていた。
沙紀の方から、舌をからませてきた。僕は、さらにキスの時間を延長して、それに答えた。
キスの間、沙紀は、なんども太股をきつく閉じる動作を繰り返した。
長い長いキスをいいかげん終わりにすると、僕は、真正面から沙紀の顔を見つめて、言った。
「僕は、誰よりも沙紀ちゃんが大切に思う。かわいいと思っている。」
沙紀は、うれしそうに微笑むと、
「せんせい、ひとつだけ聞いていいですか?」
「え?何だい」
「こんなスカンク娘のどこを気に入ってくれたんですか?私、自分では、童顔で幼児体系でちんちくりんで全然自身ないんです。」
「沙紀ちゃんは、下手なアイドルよりもぜんぜんかわいいと思うよ。」
本心だった。
「そんなことないです」
「でも、死にそうになるくらいおならがくさい」
「えーん」
「今度は、僕のオシオキ!こちらにお尻を向けて、持ち上げて」
沙紀は、素直にベットの上で四つんばいになると僕のほうにお尻を突き上げた。
「せんせぇー、沙紀にこんな格好させるとまた、またスカンク娘に変身しちゃうかも」
僕は、ロングスカートを捲り上げると、はちきれんばかりの双球を両手でいとおしむように撫でまわした。
「くすぐったい」
「我慢しなさい」
ライトブルーのシルクのパンティに包まれたマシュマロのようなお尻が、結構な迫力で僕の視界いっぱいにズームになる。やわらかさの中にも、弾けるような弾力のあるみずみずしい尻肉の感触を心行くまで、楽しむつもりで、僕は沙紀のお尻をなでまわした。
その円を外周の尻肉から、だんだん尻割れの中心へ狭めていく、そして、尻割れの中心部へ、僕の指がそっと円を描くと、沙紀は、甘い叫び声を上げて、派手にお尻を振った。
「だめです、ダメ!そんなことしたら、沙紀、またスカンクちゃんになっちゃいます」
「沙紀ちゃんがスカンクなら、僕は、おおかみになってそのおいしそうなお尻に噛み付いちゃうぞ」
僕は、噛み付くかわりに沙紀のお尻の中心部に顔を埋めて、あごを動かした
「あぐあぐあぐあぐ・・・・」
「あっ、くすぐったい、ああん」
沙紀がお尻を振って身悶える。
沙紀の尻割れの前方の方の布地は、その下のぬかるみのせいで、また、楕円形の染みになっていた。
「沙紀ちゃん」
僕は、沙紀のパンティ越しに尻割れの中心部に顔を埋めた
「もう、沙紀、頭がへんになりそうです。」
「こんどは、スカンク娘を、おしおきしてっ」
沙紀は、潤んだ瞳ですがるように僕を見つめると、顔をベットに埋めて、また尻を突き出した。僕は、自分のズボンを脱ぎ捨てると、沙紀のパンティを引きちぎらんばかりに、一気にひきずり降ろした。
もはや、沙紀の股間は、内腿までしたたるほどに、濡れまくっていた。溜まった毒ガスを放出してしまったその発射孔は、えくぼの愛らしさで、おとなしくしている。僕は、そこに口づけをして舌をはわせた。
「あっ!」
沙紀が、悲鳴をあげた。
「はやく、いじわるしないで、もう」
「気絶するほどのくさいおならをしたスカンク娘はだれかな」
「わたしです、はやく」
「いってごらん、くさいおならをしてごめんなさいって」
「はいっ、とってもくさいおならをしてしまいました。ごめんなさい」
「かわいい、かわいいスカンクちゃん、今度は、おおかみさんの強烈な一発、いいね」
僕は、沙紀の肛門を指先でこねくり回しながら、言った。
「ああっ、もうスカンクちゃん、気がへんになりそうです」
「あっ、」
沙紀が、また悲鳴を上げた。僕の一撃が、一気に根元まで挿入されたのだ。
そのとろけそうな感触を共有した僕たちは、自然に激しく腰をつかい始めていた。
あああああああああああああああああああああん
沙紀は、シーツに顔を伏せたまま、すすり泣いていた。僕が、腰を使うたびに、沙紀の小さすぎる肉襞のふちが僕の欲望の中心にまとわりつく。
蜜壺に、花蜜があふれかえり、僕のスピードがどんどん加速されていく。
新たな挿入の度に、沙紀は、派手な泣き声を上げた。
僕の精の一滴までも搾り出そうとする沙紀の内部の動きは、手馴れた僕にも、もはやコントロールできないほどの快感をもたらしていた。
僕は、ぎりぎりの速度で、小刻みなグラインドを繰り返した。
「せんせい、せんせい、ああ、い、いっちゃう」
沙紀が猫のように背中を丸めると痙攣を始めた。
欲望の中心から、むずがゆいよな強烈な快感を感じた僕は、最後の爆発に備えて、無意識におもいっきり息を吸い込んだ。
その時である
シュゥゥゥゥ-という音が僕の腹のあたりから聞こえたのは
「!!!!?くせぇぇぇーっ」
とたんに、僕の鼻がひん曲がった。たとえではない。
このかわいいスカンクちゃんは、最後にとっておきの一発を、僕に・・・
臭気で、脳がぶっ飛そうな刺激と快感がはしり、僕は、沙紀の体内に、おもいっきり若いエネルギーを放出すると、何もわからなくなった。
ふたりにまた、深い眠りが訪れた。
クリスマスの明け方・・僕は、波の音で目覚めた。
沙紀が僕にしがみつくように寄り添って寝息をたてている。僕は、ふらふらする頭で、このいとおしいスカンク娘の子供のような寝顔を見つめていたが、急に、海の冷たさが恋しくなった。
僕は、沙紀をおこさないように注意しながら、ベットを離れると、上着を着込んだ。
そして、まだ、渡せていない、プレゼントをメモといっしょに枕もとにおいて、そっと部屋をでた。
Merry Christmas! 海を見てきます。 サンタクロースより
夜が明けたばかりの海を見つめていると、ほどなくして、白い息をはきながら、長すぎる手編みのマフラーを巻いた、沙紀が一生懸命走ってくるのが見えた。
僕は、すがすがしい冷気を思いっきり吸い込みながら、大きく手をふった。
来年も、ステキな時間がまっているという予感に微笑みながら・・・・
おしまい
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